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無垢を含むプラグのメンテナンス方法

2022年05月30日(月) 12時04分

メンテナンス

無垢プラグ(SHC*1・真鍮)は、大気中の酸素と結びついて酸化し、表面に酸化膜を形成します。
この酸化膜によって、接触抵抗の増加や接触不良が引き起こされます。
これらの症状を回避したり、最善の状態でご利用頂くため、無垢プラグは定期的なメンテナンスを推奨します。
一般的な銅素材の酸化膜除去の方法には、銅酸化膜除去剤や酸による中和反応などもありますが、ここでは電極間の絶縁用樹脂に影響が少なく、比較的手軽な研磨によるメンテナンス方法をご紹介します。*2

手順①:銅磨きクロスによる研磨

下は長期間(1年強)放置した無垢プラグです。
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まず、"銅磨きクロス"等の銅を想定した研磨剤で表面を磨きます。*3
この時、プラグをクロスで包み、プラグ側を回転するように磨くと綺麗に磨くことができます。
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手順②:拭き上げ

メガネクロス等の柔らかい布に、IPA等の揮発性の高い液体を馴染ませてから拭き上げを行います。*4(余裕がある方はオーバーホールクリーナーなどを推奨します。)
各洗浄剤のご利用については、必ずそれぞれの製品の注意事項をご確認の上ご利用ください。
また、表面材質や仕様によっては適さない組み合わせもありますので、使用する洗浄剤は適宜ご選定ください。

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※手順①の工程で、電極部に残った研磨剤を拭き上げる工程です。
※手順②を飛ばしてジャックに挿し込むと、電極部に残った研磨剤が、ジャック内部の電極を痛める可能性があります。この工程は必ず行ってください。

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最後に

保管前にオイル(油系製品)等を塗布することで、酸化膜形成の進行を遅らせることも可能です。
ただし、プラグ製品にオイル等を塗布する場合、プラグへ"直接"オイル等を塗布することは推奨しません。
(電極-樹脂間にオイル等が浸潤してしまうため。表面を綺麗に拭き上げても、電極と絶縁樹脂間に入り込んだオイルがプラグ抜き差しの際の圧力で染み出て、ジャック内部にオイルが付着する場合があります。)
塗布する際は、必ず事前に布などに馴染ませた上で、極少量を塗布することを推奨します。
また、オイル製品がジャック内部に付着すると、埃などの汚れがくっついて内部に溜まり、導通不良を引き起こす場合があります。ご利用時にはプラグに直接オイルを塗布することはせず、塗布した場合はオイルを入念に拭き取ってからご利用頂くことを推奨します。

弊社で行っている銅無垢素材の酸化膜除去方法や、プラグ全般に対するメンテナンス方法を簡単に紹介させて頂きました。*5

弊社では、無垢プラグ採用品は手順①&②を、金や銀などのメッキ製品は各材質に適した洗浄剤による②の拭き上げを推奨させて頂いており、Bispaオリジナルリケーブル製品ではそれぞれを実施した上で出荷をさせて頂いております。*6

無垢プラグ及び各種プラグ製品をご利用の際のご参考になりますと幸いです。
※撮影協力:ESSENCE AUDIO様

*1 : サンクベスオリジナル銅合金。Cu>99%

*2 : その他の銅製品のメンテナンス方法も非常に参考になります。ただし、プラグ製品の場合は樹脂がありますので、その点を加味した上で参考にするようにしてください。

*3 : 銅は比較的柔らかいため、金属全般を想定した研磨剤だと粒度(目の粗さ)が高すぎて削れ過ぎてしまうことがあります。

*4 : 電極部や接点の洗浄にはHOZAN オーバーホールクリーナー・3M Novec等の電気接点用途を想定したクリーナーが特におすすめです。信頼性が高く、他のプラグやジャックの清掃など、用途も幅広いので、余裕がある方はこちらをご利用頂くことをおすすめします。その他の物を試される場合、pHなどを参考に、樹脂への刺激性も考慮されることをおすすめします。

*5 : 銅素材の経年劣化による錆にはいくつか種類がありますので、変質が進み、錆びてしまった場合は他の対処方法を検討する必要がある場合があります。

*6 : 拭き残しによるジャック内部への残留や汚れの蓄積、及び電気特性などの観点から、ご利用前にお客様に特に入念な拭き取りを行って頂く必要性が発生するため、オイル製品の塗布は行っておりません。